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爆買いの次はコト消費?あなたは踊らされていませんか?【インバウンド】

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【爆買いの次はコト消費?あなたもメディアに踊らされていませんか?】

 
爆買いの次は「コト消費!」そんなニュースがテレビやネット上で駆け巡る2016年の春節休み。もちろん話題の中心は中国人観光客。
爆買いは終わるだ終わらないだ、次はコト消費を狙えだ、いえ、いいんですよ。それがメディアの仕事でしょうから。

しかし、それに取り組む中小企業は右往左往。昨年は「みんながやってるから爆買いブームに乗れ!」だったのが、今は「急いでコト消費に対応を!」
こんな浮ついた取り組み方で、難易度の高い中国人市場に切り込めるとはとても思えません。

今回は特に、突然憑りつかれたかのように「これからの時代はコト消費!」という展開をされようとしている企業の皆様に、あえて苦言を呈させていただきます。

 

【コト消費の明確な定義は特にない】

 
2016年2月10日時点において、「コト消費」に関する明確な定義は存在しないようです。イメージとしては「モノを買い所有するための消費ではなく、サービスや体験に対価を支払う」という感じでしょうか。小売業界では数年前から使われているらしいです。

これを、近年増加している訪日外国人観光客(特に中国人)に当てはめて、

爆買いからコト消費

モノの所有から体験を重視

という、このままインバウンド消費を下火にさせないための、「スローガン」のように使われているというのが実情ではないかと。
まあ、「美ンバウンド」はダサくて使う気になれませんし、業界が限定され過ぎてますかね。「コト消費」の方がすんなり入ってきやすいと思います。

 

【メディアはビジネスコンサルタントではない】

 
最近、私のような細々とやっている中国ビジネスコンサルタントのところにすら、

「コト消費対応、どうやったらいいですか?」
「どういうサイト作ったらいいですか?」
「情報アプリ作って、マネタイズできますかね?」

と言った相談が来ます。どうしてそれやろうと思ったんですか?と質問すると、

「いえ、ニュースで最近よく見るんで」
「うちの留学生中国人アルバイトがそう言うんですよ」(出た!)

というような回答ばかり。自らマーケティングを行っているケースはほとんどありません。
以前、日本企業が猫も杓子も中国に現地法人つくりたがった状況に似ています。みんなやってるから、と。

しかも、今回は当時の中国に独資で進出する際の最低出資ラインの目安である「100万元(今のレートで約1750万円)」という、エントリー費用もありません。好きな金額トライして、ダメだったら「ニュースのようにはいかんなあ」で済ませればいいだけの話です。

 
ところで爆買いは、実際にあちこちで見かけた日本人も多いと思いますので、「ウチの製品も売ってやろう」「売るためのプラットフォームを作ってやろう」という気持ちになってしまうのはわかります。

ただ、コト消費、これは実際どうなんでしょう?実際その目で見かけた事ありますか?

 
メディアは当然のように「小さいものでも大きく見せる」ことでニュース価値を高めています。
例えば仮にこんなニュースがあったとしましょう。

「茨城県の某所で、中国人観光客を対象に、手作り納豆体験のサービスを提供」

中国人が笑顔でカメラに向かって答えます。

「納豆は健康にいいから良く食べるんだ。それで本場日本で手づくり体験をしたくなった、ってワケさ」
 
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ただ、具体的な数字は滅多に出て来ません。
一日何人が利用しているのか、売上金額はどのくらいか。だってもし現実が

「茨城の手づくり納豆体験に中国人観光客3名が殺到!これからは健康志向へ」

これではニュースになりません。そこで大抵は曖昧な表現でぼかします。

 
「予想以上の来場者」←2,3人しか来ないだろうと思ったら6人来た!これでもウソではない

「体験者個人の感想のみ」←絶対に友人にもススメる!レベルかどうかが重要

「想像以上の反響で手ごたえを感じている」←上述のように、想像以上というのは絶対値ではなく比較に過ぎない

 
メディアが欲しいのはネタ、話題性。視聴率、PV数。ビジネスコンサルタントをしているわけではありません。そうです、問題はその事をすっかり忘れて踊らされてしまう側にあるわけです。

(※どうして留学生のくだりに「出た!」と表記されているかは、
 「中国ビジネス 初心者がハマる落とし穴」をご覧ください)

 

【コト消費情報満載のサイトでマネタイズ。で、予算はいくら?】

 
このようにメディアのニュースのみでトレンドを理解したつもりになる方は、得てして「簡単にマネタイズが可能」と考えがちです。ただ、大抵はそのサイトなり、アプリなりの利用者をどうやって増やしていくかの方策が漠然としています。言い換えれば、予算感があまりにも現実的でない場合が多いのです。

 
【パターン1】
口コミです ← どうやって?
Weiboです ← フォロワー何人ですか?
これから増やします ← いくらかけますか?
0円です。スタッフ一同で地道につぶやき続けます ← がんばってください

【パターン2】
口コミです ← どうやって?
WeChatの公式アカウントです ← ファン何人ですか?
これから増やします ← いくらかけますか?
30万円です! ← 初期費用ですか?月額費用ですか?
総額です! ← がんばってください

【パターン3】
日本に来たら、検索でウチのサイトが上位表示されます ← スゴい!検索サイトは?
グーグルです! ← 中国人が日本に来たら百度使わなくなるといいですね

【パターン4】
ウチのサイトはサーバー日本でも大丈夫です ← え?なんで?
だって、中国人が日本に来てから行動を決定するためのサイトですから! ← なるほど。今どのくらいの人がそうしてるんですか?
人数はわかりませんが、そういう傾向にあるって聞きました ← 人数はわからないのに、どうして取り組もうと思ったんですか?
多そうだからです! ← 多かったらいいですね

 
この中で今回のテーマで言うなら、典型は【パターン4】。

「日本に来てから行き先や行動を決定する中国人が増えている」

という情報のみで勝負しようとしています。
正確にその人数を把握することは実際困難だと思いますが、もしビジネスとして成立するほどの規模ではなかった場合どうするのでしょうか?

 

【コト消費、踊らされる企業ほど予算も根気もない】

 
これ、私だけでなく、中国向けビジネスの支援を行っている戦友たちも感じているはずです。

私個人は、もし取り組むきっかけがメディアの情報からであっても、十分にチャンスはあると考えています。しかし、いくつもの「本気の企業」が早々に取り組み始めているハンデがあるわけです。

せめて予算と根気だけは持っていてほしいと切実に思います。
後発なら後発の、先駆者の苦労をショートカットできる優位性もあります。しかしながらそれを活かすも殺すも必要なカネと本気の想いがあってこそ。

・メディアで情報をキャッチしてから始めている時点で遅い
・しからば後発であるメリットを最大限生かす
・そして本気で取り組む

「本気だけどテストを兼ねてスモールにトライする」のと、「まあとりあえず小さくやってみて、いけそうなら続ける」というのは違うと思います。私も上海現地でビジネスをしてきた者のはしくれとして、後者では絶対に成功できないと断言いたします。

 

【コト消費、それでもデメリットを理解しながら取り組んでほしい】

 
ポータルサイトなんかは「マネタイズできない」「客集まらない」で終わらせることもできますが、店舗などですとそうはいきません。異国の観光客を得ていく事に目を向けすぎて、古くからのファン離れが起こってしまう例は少なくないでしょう。

それでもほとんどの日本人は、日本人のみを相手にして企業が存続していく事が困難な時代になった、ということは実感しているはずです。だからこそ、

「外国人観光客を取り込んでいくのは、これまで応援いただきました皆様に、より良いサービスの提供を維持していくため」

という理解を求め、時にしっかり還元していく事が大切です。

 
春節ということで、どうしても一時的に中国語のウェルカムボードを大量に配置したり、中国人びいきのサービスを提供せざるを得ない小売店、飲食店、観光地も多いでしょう。

結構な事です、そこでしっかり利益を出してください。

そして、春節の旅行者が落ち着いた後には、

「春節爆売り目標達成セール」

のようなサービスを、日本人のオールドファンの顧客に向けて実施してください。
おもてなしとか騒いでおきながら、大切なお客様に気も配れないようでは話になりませんからね。

 

 
私自身は「体験」を重視したコンテンツの提供は大賛成で、是非全国各地で取り組んでいただき、中国人観光客が自分の好みで、自分の判断で行きたい場所、体験したい空間へ行くようになってほしいと真剣に願っております。

ただ、「爆買い」というひとり歩きした言葉に踊らされ、その割にこれという結果も残せなかった矢先に、「コト消費」などという言葉に反省もなく踊らされようとしている日本企業が多い事には失望しています。やるなら本気でやりましょうよ!

 
「コト消費」という言葉を2016年も流行語大賞にノミネートさせたいのか?という空気を感じる2016年の2月。是非ともしっかりと腰を据えて中国人観光客への取り組みに取り組んでください!

 

 

【著者プロフィール】

【本炭康典(もとずみ やすのり)】

株式会社メイシージェーン代表取締役
出身地:千葉県 血液型:O型
通称:なっとう、笨蛋、など

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【主な経歴と活動】

明治大学を卒業後、フリーのライターをやったり浅草で人力車を引いたりしながら、いつの間にか中国関連のビジネスに従事する。

2009年に当時勤務していた会社の社内プロジェクトとして、上海に「角谷(上海)貿易有限公司」(http://www.nadou-kadoya.cn/)を総経理として立ち上げ、当時仕事を全然しない部下を強気で解雇して労働局に駆け込まれたりと泣きべそをかきながらも、2014年春の帰国までに同社の商標である「角谷(かどや)」納豆を中国全土に幅広く流通させ、現在同ブランドは高級スーパーを中心に約200店舗の納品を継続している。

2014年12月に株式会社メイシージェーン設立。越境ECサイトを立ち上げた瞬間に閉鎖するというお茶目な失敗を経験するも、2015年7月より活動を開始した「とせんばプロジェクト」において日中相互理解をベースとした日中間ビジネスを提唱し、現在は中国人市場への日本製品販売支援を中心に、日中間ビジネスを中長期で考える企業様、取り組みたいがどの入り口から入ったらよいか決めかねている企業様、日本展開において助力が必要な中国企業様、といった課題をお持ちの方々の解決及びサポートを行っている。

販売支援と同時に、無駄なコスト削減提案を得意としている。
「対中ビジネスコストカッター」の称号を得ることを最近の目標にしているらしい。

 

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