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中国で納豆ブームってホント?売ってた私が検証します!【中国ニュース】

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昨日(2015年10月19日)、朝日新聞夕刊紙面においては
 

「納豆人気 中国で着々」

 
朝日新聞DIGITALにおいては
 

「中国で納豆ブーム ラーメンと同価格、プチぜいたく品」

 
という見出しでそれぞれ同内容の記事が公開されました。
DIGITALの方は会員登録必要ですが、ご参考までにコチラからご覧ください。

 
納豆は記事内では「ナートウ」と書かれていますが、ピンインで書くと「nadou」、ナードウと書く方が実際の発音に近いですね。また、記者の方は瀋陽所属らしいので、取材範囲が大連、北京で、山東省、上海は調査対象に入っていないようです。

 
ちなみに珍しく色々リンク貼り付けますが、ワタクシ本炭が上海で商標登録し、立ち上げから普及販売をしてきたのはこのブランド、「角谷(かどや)」。
 
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(※コチラから商品一覧、更には未だに同社が修正してくれない、当時の私の「ご挨拶」もご覧いただけます。何か真面目な事言ってます、うふ)

 
完全に余談ですが、パッケージ右上の「角谷(かどや)」は登録商標取得済み、パッケージ左上の「希世奇菌」(XiShiQiJun)というのが同社納豆のシリーズ名称になっています。商標の「角谷」はシンプルに老板(オーナーとかボスの意味)の姓なのでわかりやすいですが、この「希世奇菌」はどういう意味かと申しますと、中国には
 

稀世奇珍(XiShiQiZhen)

 
という四字熟語があって、これは「世にも珍しい、ふたつとない素晴らしいもの」という意味です。
最後の「菌」の字と「珍」の発音がまあそこそこ韻を踏んでいる事、納豆菌は「世にも珍しい素晴らしいもの」であるという事に加えて、更に最初の「珍」の字を、「健康になるという希望」のイメージで「希」に変え(実際は「希世奇珍」と書くのもアリらしいんですが少数派との事)、これは素晴らしいブランド名ができました、「希世奇菌」。
 
結果、商標通りませんでした。理由は、中国語で「菌」という字は広く「キノコ類」を表す意味でポピュラーに使われているので、納豆に「菌」の字をつけると、消費者がキノコなのか納豆なのか混乱するとの事。商標登録の弁護士は「キノコ類として申請しなければ通るハズ!」って言ってたのを鵜呑みにした失敗です。
 
因みに中国で商標申請すると、普通に2年とか受理にかかる場合が多く、受理されない場合はそれまでの申請ブランド名による宣伝活動費や販促物再制作など、かなり手痛い目に遭います。くっ、何事も経験。

 
ついでに脱線。画像は「冷蔵専用納豆」という商品なのですが、何故に冷蔵とわざわざ記載するかと申しますと、いくつかの理由で中国の納豆は基本冷凍なんですね。
 
理由1:現状の中国の物流レベルでは、工場から店頭へ納品させるまで、納豆に適した5~7度ぐらいの温度を保ち続けるのは難しい
 
理由2:中国のスーパーは賞味期限切れた製品は基本「返品」なので、納品業者は返品リスクの高い冷蔵食品を積極的に扱いたがらない
 
理由3:もう冷凍でここまで来てしまったので、消費者が冷蔵コーナーに納豆が置いてあるとすら認識していない。よって敢えて冷蔵に取り組む企業がいない

 

更には「冷蔵専用」と記載すべき理由もいくつかあります。
 
理由1:書かないとスーパーの店員が、間違えて冷凍コーナーに陳列してしまう(ギャフン!)
 
理由2:他の中国で販売されている納豆は恐らくすべて賞味期限を「冷凍1年、解凍後14日間」と表記している。そして中国は賞味期限切れの日付ではなく「生産日付」を印字。となると、例えば10月19日に製造した納豆を、一旦冷蔵で売って、14日間で売り切れなかったら冷凍すれば、そのまま冷凍納豆として販売できてしまう(大問題だぞ、コノヤロー!)

 
というわけでこの冷蔵納豆は、青島の委託生産工場から真っ向勝負で本当に3~8度(冷却装置の性質上上がって来ては下げ、下げればおとなしく、を繰り返すのでずーっと5度を維持するのは不可能)という温度帯を保ち続け、発売当初は幾多の店舗で冷凍コーナーにぶち込まれているのを見てガックリ膝を落としながら、徐々に売上を伸ばしていった苦心の作品(商品)というわけなのです。
 
どうしてそこまで冷蔵にこだわるかって?だって冷凍納豆解凍したのと「食感が全然違う」んですもん。私含め日本人で現地にお住いの納豆好きの方は、ここまでやらないと満足できないですよ。ただでさえ日本で買うより高いのに。
 
たかが納豆、されど納豆。

 

おっと、「高い」という言葉きっかけで本題に戻りますと、中国では納豆の価格は日本よりはるかに高いです(日本が安すぎとも言えますが)。朝日の記事内では「10元」とされていますが、それは大連・北京といった北の方の市場であって、上海は12~13元、周辺に納豆工場がなく長い物流行程を経て店頭に並ぶ武漢や成都など、内陸に行くと14~15元(300円弱!)というのもザラです。輸入品は上海では500円を超えるものも多いです。
 
今回の記事では納豆と畳が取り上げられていますが、畳市場はよくわからないので納豆に絞ってお話を。

 
ポイントは「ブーム」と呼べるほど過熱しているのか?という点にありますが、これは…うーん、どうでしょうね。記事を読んで受ける印象ほど納豆が売れているということはない、というのが私の印象です。
 
私の古巣で言えば、後発という事もあり初年度はそれほど売れるはずもありませんでしたが、2010年から本格的に販売を開始して、2015年で売上数は5倍以上に伸びてはおります。が、これは出だしの値がそもそも少ないわけですから、5倍になったから急成長と呼んでいいのかは微妙です。

 
ここで対象を納豆ではなく、納豆が最低限売れていく「高級スーパー」の数で考えてみましょう。
 
2010年初めの頃は、上海でも「高級スーパー」と呼ばれ、日本の輸入品や日本メーカーの現地生産品などを多く取り扱っていた小売店は少なく、駐在日本人向けの小規模スーパーを除けば、よくテレビの特集でも登場する静安寺の「久光」というスーパー、他に数店舗をチェーン展開する「CITY SHOP」、PARKSONなど百貨店の食品売り場があるのみで、上海市内に合計10店舗程度という状況でした。
 
それが今や、「高級スーパー」「百貨店スーパー」という位置づけで、ある程度の納豆販売が可能な店舗は、上海市内だけで40店舗程度にまで増えています。そして上海以外の各地にも増えています。
 
そうして見れば、納豆が5倍に増え、高級スーパーが4倍に増えているわけですから、決して納豆が特段に成長したわけではなく、中国における比較的所得の高い層向けの「安心・安全」を謳ったスーパーの市場そのものが成長している、つまりは健康や日本の食文化というものを求める層が拡大している中で、納豆もその恩恵に預かって同じように売上数を伸ばしている、と考えた方が良さそうです。つまり、ブームというよりは、緩やかに上昇を続けているというのが実際のところではないかと。
(※注:ちなみに中国ではカルフールとかウォルマートのような一般大型スーパーではまだまだ納豆は売れません。また、高級スーパーを「精品超市」と呼ぶのに対し、カルフールなどは「大卖场」と呼ばれ、現状は高級スーパーのスタイルとは全く異なります)

 
実は上海でも今年に入ってある地元テレビ番組内で、納豆が「健康食」として取り上げられました。当然ながらその直後は店頭で納豆の品切れが続出する事態となり、私の古巣の出荷数も通常時の約2.5倍に増えました。その後3週間ほどで落ち着いてしまい、今は本来の売り上げベースに対して2割アップ、というところでしょうか。納豆に関してはテレビというメディアを持ってしても、簡単には定着し得ない事がわかります。ムムム、中国の方にとって、それほどまでに納豆は「美味しくない」、「高くて割が合わない」ものなのでしょうか?

 
せっかくなのでこの千載一遇のチャンスをなぜ生かせなかったのかを私なりに検証しますと、
 
・「高くて割が合わない」→ 納豆の健康効果、その底力を正しく伝えきれていない
 
・「美味しくない」→ 正しい食べ方を伝えきれていない。慣れると意外と美味しく感じるのを知らない
 
という至ってシンプルな結論に達します。

 
特に後者の「食べ方」ですが、ここに実は落とし穴があります。それは上述しておりますように、中国の納豆は基本「冷凍」であるという事です。
 
要は解凍の仕方が悪い場合が多いのです。私の古巣のパッケージには「食べる1日前に冷蔵庫でゆっくりと時間をかけて解凍してください」という類の記載があるのですが、他のメーカーの商品だったり、パッケージをよく読まなかったりすると、常温下で解凍したり、中には電子レンジを使って解凍する方も少なくありません。冷蔵庫で解凍したとしても、解凍不足であれば「納豆シャーベット」みたいになりますし、保管や物流が悪いと発酵が進んで、アミノ酸の一種である「チロシン」という白いつぶつぶが発生し、シャリシャリして一般的に好まれない食感になってしまいます。
 
元々「美味しくないよ」という先入観のある納豆に、これだけ「不味さ倍増!」となる要素が加われば、「いくら健康にいいと言われても価格に合わない」と思われても仕方がありませんね。

 
というわけですっかり話題が逸れておりますが、最後にもうひと逸れさせていただきますと、やはりせっかくオフラインである「店頭」で販売している中で、オンラインとの連携が進んでいないためにこのような機会ロスが生じるのだと思います。
 
せっかくWe Chatの公式アカウントで色々な情報がタイムリーに発信できるのに、古巣では一切の取り組みをしていません。QRコードひとつで多くの情報が発信できるのに、納豆の食べ方から健康効果、口コミ、ゲーム感覚での「一日一食納豆キャンペーン」など、オフラインの最大の強みである「店頭で販売されているというブランドに対しての安心感」を活かした取り組みに手が回っていないのです。
 
1社でやるには手間と費用がかかるというのであれば、運営会社に委託して、同じような日系商品のメーカーが共同で展開してもいいと思います。オンラインtoオフライン、オフラインtoオンライン、「O to O」 という今の中国に適したPRをもっと積極的に活用していただきたいと思います。納豆同様、特徴のある日本のモノは商品に限らずサービスの分野などでも、いつ何時中国の大手メディアに取り上げられるかわからないんですから!

 

結論

・納豆はブームというほどではなく、堅実に市場を拡大している商品のひとつである
・それでも健康のためにお金をかける層が間違いなく拡大している(=つまりアナタの製品・サービスにもチャンスが!)
・特徴ある日本のモノ・サービスが、中国メディアに突如として取り上げられる可能性は十分にある(そう、チャンスなんです!)
・その時オンライン中心の方はオフライン、オフライン中心の方はオンラインと、双方連携の準備をしておくことでロングセラー、定番化が見えてくる

 
検証も何も納豆を例にとって「O to O」戦略の重要性を訴えただけのような気がしますが、これは本当に重要なので是非取り組んでください。

 

あと、納豆販売時代の話や中国の小売流通の話が詳しく聞きたい!という方は、お気軽に問合せフォームからご連絡ください。
備考欄にはそうですね、上海時代も納豆の話からやんちゃな話まで、酒の席でガーッと話すことが多く、それに対し当時の友人たちが
 

「ナットーク」

 
と、決してホメているとは思えないネーミングをくれましたので、「ナットーク希望」とでも書いてご送信ください。揶揄されたっていい、たくましく育っております。

 

それでは皆様、納豆は健康にいいし日本では安いので、最近食べてないなーという方は今一度日頃の食生活に取り入れてくださいませ~。

 

 

【著者プロフィール】

【本炭康典(もとずみ やすのり)】

株式会社メイシージェーン代表取締役
出身地:千葉県 血液型:O型
通称:なっとう、笨蛋、など

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【主な経歴と活動】

明治大学を卒業後、フリーのライターをやったり浅草で人力車を引いたりしながら、いつの間にか中国関連のビジネスに従事する。

2009年に当時勤務していた会社の社内プロジェクトとして、上海に「角谷(上海)貿易有限公司」(http://www.nadou-kadoya.cn/)を総経理として立ち上げ、当時仕事を全然しない部下を強気で解雇して労働局に駆け込まれたりと泣きべそをかきながらも、2014年春の帰国までに同社の商標である「角谷(かどや)」納豆を中国全土に幅広く流通させ、現在同ブランドは高級スーパーを中心に約200店舗の納品を継続している。
尚、同社ホームページの「ご挨拶」ページでは未だに「総経理:本炭康典」となっているが、これは単に同社がホームページ更新をサボっているだけであり、現在同社とは「協業」という関係である。

2014年12月に株式会社メイシージェーン設立。越境ECサイトを立ち上げた瞬間に閉鎖するというお茶目な失敗を経験するも、2015年7月より活動を開始した「とせんばプロジェクト」において日中相互理解をベースとした日中間ビジネスを提唱し、現在はインバウンドを含めた日中間ビジネスを中長期で考える企業様、取り組みたいがどの入り口から入ったらよいか決めかねている企業様、日本展開において助力が必要な中国企業様、といった課題の解決及びサポートを行っている。

自身の上海での生活とビジネスの経験を活かし、「メディアのニュースに踊らされない日中間ビジネス」をコンセプトにしているのが大きな特徴である。

 

株式会社メイシージェーンWEBサイト http://macyjane.co.jp
本炭康典Facebookページ https://www.facebook.com/yasunori.motozumi

 

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